2023.11.28
Category:お役立ち情報
Class:背中の痛み
背中の上が痛い
執筆者 D.C.ドクターオブカイロプラクティック 加藤貴司
背中の痛みについて専門家が解説いたします。
背中の痛みでお悩みの方はとても多いです。
一口に背中の痛みといっても、痛みの部位や痛みの質、痛みの原因は様々です。
背中の痛みの由来は、大きく分けて筋肉、関節、内臓の三つが考えられます。
このうち筋肉と関節に由来する痛みは、
生活習慣や不良姿勢など身体のバランスが崩れていることと関連が大きいといえます。
内臓に由来する背中の痛みは、関連痛とか放散痛などといわれる痛みです。
原因となる臓器としては、胃や十二指腸、膵臓などの消化器や、心臓や大動脈などがあり得ますが、それらの臓器の不調のサインとして痛みを感じます。
現在の我々の生活を考えると、背中の痛みで一番多いのは生活習慣や姿勢が原因となっているケースでしょう。
パソコンに向かって仕事を頑張っていたら、「だんだん背中が痛くなってきた」とか、「一息入れて体を動かそうとしたらなんだか背中が痛い」、なんてことを経験された方は多いのではないでしょうか。「スマホやタブレットで動画やゲームに没頭していて気付いたら、、、」という方もおられるでしょう。
ずっと同じ姿勢でいたことで筋肉はガッチガチに緊張してしまい、それと同時に関節も固まってしまっているわけです。たいていの場合は、軽く体操やストレッチをしておけばほぐれていきますが、何度も繰り返されると、筋肉に緊張したままになってしまい、それが身体の癖になってしまいます。
緊張して血流が悪くなっている筋肉は、酸欠状態になってしまって痛みを感じます。
そこにさらに負荷が掛かると、強い痛みを感じることもしばしばです。
また、関節にも固まったままになってしまうところが出てきます。
脊椎同士の間にある関節や、脊椎と肋骨の間の関節などが固まってしまって動きが悪くなっていると、そこに荷重がかかった時に負荷を逃がすことができなくて痛みを感じます。
そこまで来ると、簡単な体操やストレッチ程度ではなかなか改善できず、痛みが慢性化してしまうこともしばしばです。
「良い姿勢」には色々なメリットがありますが、
痛みとの関係からみると、体重を効率的に支えるという点がとても重要です。
「良い姿勢」では背骨を中心とした骨格と、様々な筋肉が体重の負荷をバランスよく支えることができます。
したがって、特定の筋肉や関節に負荷が集中するということが少ないので、筋肉の過緊張や関節の動きづらさといった問題も起こりづらいわけです。
しかし、いわゆる「猫背」などの不良姿勢では、体重を支えるバランスが悪く、負荷の集中する筋肉や関節が出てきてしまいます。がんばりすぎた筋肉や関節は過緊張を起こしたり炎症を起こしたりして、痛みの元となります。
姿勢の問題は、背中の痛みだけでなく、腰痛や肩こり、頭痛など様々な不調の原因となることもあるので、できれば積極的に改善に取り組んで、良い姿勢を身につけたいものです。
姿勢の改善は毎日適切な運動を行うか、体に合わせた施術を専門家に受けましょう。
内臓由来の背中の痛みは、そう頻繁には起きませんが、
胃や十二指腸の不調に由来する痛みは経験があるかもしれません。
食べ過ぎ・飲み過ぎや、ストレスなどで胃や十二指腸の調子が悪くなると、
背中の真ん中あたりに痛みを感じることがあります。
また、膵炎や膵臓癌など膵臓の不調でも背中の痛みが起こることがあります。食後や飲酒後に毎回背中が痛む、というような時には膵臓との関係を疑った方がいいかもしれません。
また、肝臓や胆のうなどの不調も、背中に痛みを出すことがあることが知られています。
背中の痛みは心臓や大動脈が原因となることもあります。
急に始まった激しい痛みは、心筋梗塞や急性大動脈解離など重大な病気の可能性もあります。
命に関わる事態ですから、すぐに医療機関の受診が必要です。
痛みとともに吐き気がしたり冷や汗がでるなどの場合には要注意です。
急に始まった痛みでも、「ぎっくり背中」というような急性の筋肉の炎症の場合もございます。
適切な鑑別が必要です。
その他には、腎盂腎炎や腎結石・尿管結石など腎臓から膀胱にかけての病変も、背中に痛みを出すことがあります。
尿管結石の痛みは、俗に「痛みの王様」といわれるくらいの激痛で、大の大人がのたうち回るほどの痛みであることもしばしばだとされます。背中と言ってもかなり下の方になるので、腰痛として認識される場合もあります。
背中の痛みが関節や筋肉に由来するのか、内臓に由来するのかという判断のポイントが気になるかとは思いますが、痛みだけから確実に判断するというのは困難です。
・一般論としては、動作や姿勢に伴って痛みが増減する場合には、関節や筋肉に由来する痛みの可能性が高まります。
・動作や姿勢に関係なく、ずっと痛みが変わらない、常に痛いという場合には内臓由来の可能性が高くなります。さらに、背中の痛みだけでなく首や肩、胸やお腹など他の場所も痛む場合や、吐き気や食欲不振、発熱や冷や汗などの他の症状も伴う場合にはよりその可能性が高まります。
しかしながら、これらはあくまで一般論ですので、気になる場合にはまずは医療機関を受診して、内臓の不調がないかを確かめる方がベターでしょう。思い当たる節がないのに、急な痛みというのは注意が必要です。早めの対応が重要です。
背中の痛みの予防や対処について述べていきたいと思いますが、ここで対象になるのは主には関節と筋肉由来の痛みの場合です。内臓に由来する痛みに関しては、健康に留意して日頃の節制に努めるということが一番の予防法でしょう。
比較的多く起きがちな消化器系の不調の予防には、食べ過ぎ・飲み過ぎ、夜中のドカ食い、脂質の過剰摂取、極端な食事制限などをしないように気を付けましょう。
筋肉や関節は、良く動かすことで良好なコンディションを保てるように設計されています。逆に何もしなければ筋肉は徐々に固くなり筋力も衰えていきますし、関節の可動域も、やはりだんだんと小さくなってしまいます。
ですから、日ごろからしっかりと筋肉や関節を動かしていきましょう。
ヨガや太極拳など関節の動きを大きく使うエクササイズはとても適していますし、ストレッチやラジオ体操でも構いません。
背中の痛みに関係するストレッチ動画もライフバランス では随時アップしていきますので、ご参考になさってください。
歩くときに大きく腕を振る、しっかり体幹をひねるといったことを気を付けるだけでも、背中の筋肉や関節を動かすことにつながります。できれば寝る前や週末だけでなく、お仕事の合間などわずかな時間でも構わないので、なるべくこまめに取り組むことが有効です。
また、そもそも筋肉や関節に掛かる負荷を少なくしていくために、姿勢に気を付けるということもとても大切です。
良い姿勢とはどんな姿勢か、ということを追求していくとかなり込み入った話になってしまうのですが、
ひとまず悪い姿勢を改善するというスタンスで取り組むだけでも効果があります。自分で姿勢をチェックできる方法としては、垂直の壁に背中を付けて立つというのがシンプルで簡単でしょう。
その時に、踵、お尻、背中、両肩、後頭部が全て壁に付くでしょうか。
付かないところはズレてしまっているところですから、しっかりと壁に付けて修正しましょう。また、後頭部が付いていても顎が上がっていないか注意してみて下さい。もしも上がっていたら、顎をぐっと引きましょう。
一度修正したからといって、すぐに姿勢が良くなるわけではありませんが、姿勢改善は積み重ねが重要なので、何度も繰り返して身体に覚え込ませていきましょう。
筋肉や関節に由来する背中の痛みが起きてしまった時の対処法ですが、筋肉の過緊張が原因であれば、その筋肉を休ませて負荷を減らす必要があります。関節のこわばりが原因であれば、その関節を動かして周りの組織を緩める必要があります。
もっとも、場合によってはどちらも関わるという場合もありますし、自分で原因となる箇所を特定するのはさらに難しいことです。痛みが軽度の段階でしたら、
軽い体操やストレッチをしてお風呂に入り、ひと晩ゆっくり休めば回復できるというケースもあるだろうと思います。
しかし、それでも痛みが続いたり、痛みが強く出ている場合や、痛みがあちこちに出ている場合などには、カイロプラクティックなどの身体をケアする専門家にかかるのがベターです。
背中に慢性的な痛みやあちらこちらに痛みが出るということは、姿勢を中心とした身体のバランスや、動作のパターンも大きなアンバランスが生じてしまっている可能性が高く、治療的な介入がないと改善は難しいと思われます。
参考ページ:カイロプラクティックとは
筋肉の機能や状態のアンバランスが大きくなると、ストレッチをしてもすぐに元に戻ってしまいがちになりますし、関節の可動性のアンバランスが固定化してしまうと、体操などで体を動かしても、動きづらいところは動かずに動きやすいところだけが動くということになってしまうからです。
一言で筋肉と言っても背中に痛みを出す可能性のある筋肉は多数あります。関節にしても、数十か所に上ります。痛みが出ている場所に原因があるとは限らず、離れた場所に原因がある場合もありますし、いくつかの要因が複合的に積み重なっている場合もしばしばです。
個別の筋肉や関節の状態を見分けることのできる専門家にかかることで、その症状の改善はもちろんのこと、エクササイズや生活習慣なども含めた改善・予防に関するアドバイスを受けることもできたりしますから、
自分では気付かない自分の身体についての理解を深める機会にもなるのではないでしょうか。
今回は背中の痛みについて、まとめました。
背中の痛みには様々なパターンがございます。
適切な対応をする必要があります。
カイロプラクティックを受けたい際は、ぜひご相談ください。
ライフバランス